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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第24章 第十話 【宵の花】 其の弐

「それにしましても、大番頭さん。私はお亡くなりになったお嬢様がお労しくてなりませんよ」
「それもそうだな。あんなお優しい方が酷い死に方をなすって。先代の旦那様がご存命でおわせば、さぞお嘆きなすったことだろう」
佐平が言うと、泰助が応じた。
「お嬢様があのような死に方をなすったのも、すべては旦那様のせいではございませんか。大番頭さん、あの男は―怖ろしい男でございますよ」
「これ、止さないか。たとえ昔はどうあれ、今、あの方はこの京屋の主人、私らは所詮は奉公人にすぎねえ。現に今の旦那様の代になって、この店はまた身代をひと回り以上も大きくしたんだ。たとえ、どんな男であろうと、今の旦那様が商人として申し分のない方であるのは紛れもない事実、先代の旦那様のお眼鏡に叶っただけのことはある」
「それもそうだな。あんなお優しい方が酷い死に方をなすって。先代の旦那様がご存命でおわせば、さぞお嘆きなすったことだろう」
佐平が言うと、泰助が応じた。
「お嬢様があのような死に方をなすったのも、すべては旦那様のせいではございませんか。大番頭さん、あの男は―怖ろしい男でございますよ」
「これ、止さないか。たとえ昔はどうあれ、今、あの方はこの京屋の主人、私らは所詮は奉公人にすぎねえ。現に今の旦那様の代になって、この店はまた身代をひと回り以上も大きくしたんだ。たとえ、どんな男であろうと、今の旦那様が商人として申し分のない方であるのは紛れもない事実、先代の旦那様のお眼鏡に叶っただけのことはある」

