この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第23章 第十話 【宵の花】 其の壱

【其の壱】
藍染の着流しに同色の羽織をすっきりと着こなした良人に向かい、お彩は手を付いた。
「いってらっしゃいませ」
少し躊躇ってから、お彩は小さな声で続けた。
「今日もまた遅くなるのですか」
しばらく応えはなかった。もう返事はないのかと思った頃、良人の声が背中越しに聞こえた。
「帰りはいつになるか判らないから、先に寝んでいなさい」
「はい」
お彩の返事をを待ちもせず、良人はそのまま廊下を歩き去っていった。とうとう一度も振り返ることはなかった。
藍染の着流しに同色の羽織をすっきりと着こなした良人に向かい、お彩は手を付いた。
「いってらっしゃいませ」
少し躊躇ってから、お彩は小さな声で続けた。
「今日もまた遅くなるのですか」
しばらく応えはなかった。もう返事はないのかと思った頃、良人の声が背中越しに聞こえた。
「帰りはいつになるか判らないから、先に寝んでいなさい」
「はい」
お彩の返事をを待ちもせず、良人はそのまま廊下を歩き去っていった。とうとう一度も振り返ることはなかった。

