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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第22章 第九話 【夫婦鳥~めおとどり~】 其の壱

伊勢次と別れた後、お彩は長屋に戻った。「花がすみ」に出る前に、やっておかねばならぬことがある。お彩は小机に向かうと、急いで文をしたためた。この机はかつて父が仕事をするときに使っていたものだ。
お彩は短い文をしたためると、それを同じ長屋の小吉(こきち)という八つになる男の子に預けた。小吉には駄賃を与えて町人町の京屋までこの文を届けて欲しいと頼んだ。
本日、昼八ツ(午後二時)に随明寺の大池にてお待ち申し候。
まいるお彩
お彩は母お絹に習い、読み書きに不自由はない。流石に母とは違って難解な書物なぞはとんと駄目だが、日常に使う程度なら自在に読み書きできる。
お彩は短い文をしたためると、それを同じ長屋の小吉(こきち)という八つになる男の子に預けた。小吉には駄賃を与えて町人町の京屋までこの文を届けて欲しいと頼んだ。
本日、昼八ツ(午後二時)に随明寺の大池にてお待ち申し候。
まいるお彩
お彩は母お絹に習い、読み書きに不自由はない。流石に母とは違って難解な書物なぞはとんと駄目だが、日常に使う程度なら自在に読み書きできる。

