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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第22章 第九話 【夫婦鳥~めおとどり~】 其の壱

せめて初七日を終えるまでは甚平店で過ごそうと決めているお彩であった。当然のことながら、一人きりの夜を過ごさねばならないと思っていたのだが、意外にもお彩を待っていた人物がいた。
長屋の前に佇む美貌の女は、丁寧に頭を下げた。お彩は予期せぬ出来事に次々と見舞われ疲れ切っていた。ぼんやりと虚ろな眼で見た女の顔が誰であるか漸く思い出した時、お彩は愕きのあまり眼を見開いていた。
そのひとは町人町の古着屋「ゆめや」の女主人であった。いつもどおりの紫の着物に黒繻子の帯といった地味な装いが、かえって女の艶やかさを際立たせている。だが、何故、美貌の古着屋の女主人がここにいるのか解せない。
長屋の前に佇む美貌の女は、丁寧に頭を下げた。お彩は予期せぬ出来事に次々と見舞われ疲れ切っていた。ぼんやりと虚ろな眼で見た女の顔が誰であるか漸く思い出した時、お彩は愕きのあまり眼を見開いていた。
そのひとは町人町の古着屋「ゆめや」の女主人であった。いつもどおりの紫の着物に黒繻子の帯といった地味な装いが、かえって女の艶やかさを際立たせている。だが、何故、美貌の古着屋の女主人がここにいるのか解せない。

