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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第13章 第五話 【夏霧】 其の弐

長い身の上話を終えた後、おきみは淋しげな顔で笑った。
「あたしにとっては、【花がすみ】で過ごした日々は本当に夢のようでした。あたしのような芯まで汚れきっちまった女が喜六郎さんのようなお人に大切にして貰えて。心のどこかで、いつもあたしは、こんな幸せが長く続くはずがないって思ってたんです」
手文庫から持ち出した金を渡した時、勝蔵とはそれで切れたという。
「風の便りに聞きましたけど、その金でしばらくは派手に遊び暮らしてたそうですよ。でも、悪いことはできたもんじゃござんせんね。賭場での諍いに巻き込まれて、殺されちまったそうです」
「あたしにとっては、【花がすみ】で過ごした日々は本当に夢のようでした。あたしのような芯まで汚れきっちまった女が喜六郎さんのようなお人に大切にして貰えて。心のどこかで、いつもあたしは、こんな幸せが長く続くはずがないって思ってたんです」
手文庫から持ち出した金を渡した時、勝蔵とはそれで切れたという。
「風の便りに聞きましたけど、その金でしばらくは派手に遊び暮らしてたそうですよ。でも、悪いことはできたもんじゃござんせんね。賭場での諍いに巻き込まれて、殺されちまったそうです」

