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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第1章 第一話―其の壱―

「『花がすみ』にも顔を出そうと思ってたけど、ここのところ、ずっと仕事が立て込んでて毎日遅くまで現場に居残ってたからさ。店に行こうにも行けなかったんだ」
伊勢次は心底済まなさそうに言う。お彩は微笑んだ。
「良いのよ。伊勢次さんが私のことを心配してくれるのはありがたいと思うけど、お客さんにそこまで心配かけちまうのは申し訳ないもの」
「―」
お彩は他意なく言った言葉ではあったが、伊勢次は何故か、ひどく傷ついたような顔になった。
「お彩ちゃん、俺って、やっぱり、お彩ちゃんにとっては、『花がすみ』に来るただの客にすぎねえのかな」
いかにも自信なさげに言うのへ、お彩は母譲りの大きな眼を見開いた。
伊勢次は心底済まなさそうに言う。お彩は微笑んだ。
「良いのよ。伊勢次さんが私のことを心配してくれるのはありがたいと思うけど、お客さんにそこまで心配かけちまうのは申し訳ないもの」
「―」
お彩は他意なく言った言葉ではあったが、伊勢次は何故か、ひどく傷ついたような顔になった。
「お彩ちゃん、俺って、やっぱり、お彩ちゃんにとっては、『花がすみ』に来るただの客にすぎねえのかな」
いかにも自信なさげに言うのへ、お彩は母譲りの大きな眼を見開いた。

