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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第7章 第三話 【盈月~満ちてゆく月~】 其の壱

そんな馬鹿なことがあるはずがない、瞬時に浮かんだ嫌な考えをお彩は咄嗟に笑い飛ばそうとした。だが、次の伊八の言葉がお彩の決意を無残にもうち砕いた。
「止してくれよ。俺はあの子を他人の子だなんて思ったことは、ただの一度もねえんだ。あの子はたとえ誰が何と言おうと、俺とお絹の子だ」
―俺はあの子を他人の子だなんて思ったことは、ただの一度もねえんだ。
伊八の言葉が耳奧で幾度もこだまする。
「他人の子」という部分だけがお彩の中で烈しく渦巻いた。
―たとえ誰が何と言おうと、あの子は俺とお絹の子―。
お彩は心の中で呟き、涙が溢れそうになった。熱いものが身体の奥底から迸り出てきたが、自分が泣きたいのか叫びだしたいのかすら判らない。それでもまだ、お彩は一縷の希望を繋いでいた。
「止してくれよ。俺はあの子を他人の子だなんて思ったことは、ただの一度もねえんだ。あの子はたとえ誰が何と言おうと、俺とお絹の子だ」
―俺はあの子を他人の子だなんて思ったことは、ただの一度もねえんだ。
伊八の言葉が耳奧で幾度もこだまする。
「他人の子」という部分だけがお彩の中で烈しく渦巻いた。
―たとえ誰が何と言おうと、あの子は俺とお絹の子―。
お彩は心の中で呟き、涙が溢れそうになった。熱いものが身体の奥底から迸り出てきたが、自分が泣きたいのか叫びだしたいのかすら判らない。それでもまだ、お彩は一縷の希望を繋いでいた。

