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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第45章 第十六話 【睡蓮】 参

お彩は茫然とその場に立ち尽くした。
無意識の中に片手で腹部を押さえる。お彩の胎内では今、新しい生命が育ちつつある。市兵衛の子であることは間違いなかった。三月前のあの吉原でのたった一夜で、お彩は再び市兵衛の子を身ごもったのである。
引き離され、二度と我が子とは呼べぬ子と、これから生まれてこようとしている新しい生命。懐妊に気づいたのは、京屋に来る少し前のことだ。だが、月のものが遅れるのはよくあることで、まだ確証はなかった。
無意識の中に片手で腹部を押さえる。お彩の胎内では今、新しい生命が育ちつつある。市兵衛の子であることは間違いなかった。三月前のあの吉原でのたった一夜で、お彩は再び市兵衛の子を身ごもったのである。
引き離され、二度と我が子とは呼べぬ子と、これから生まれてこようとしている新しい生命。懐妊に気づいたのは、京屋に来る少し前のことだ。だが、月のものが遅れるのはよくあることで、まだ確証はなかった。

