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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第44章 第十六話 【睡蓮】 弐

【弐】
「花がすみ」は、狭い店内から人が溢れ出そうなほどの客の入りであった。それもそのはずで、今は昼刻のかき入れ刻である。
「花がすみ」は江戸の外れ、小さな一膳飯屋だ。主人の喜六郎はいかつい顔には似合わぬ無類のお人好し、料理の腕は一級である。かつては京の料亭で板前として本格的な料理を作っていたというだけあり、その腕はなかなかのものだ。
お彩は「花がすみ」で仲居として働き始めて、もう七年になる。目下のところは仲居兼板前見習いといったところで、これまでどおり仲居としての仕事もこなしながら、喜六郎に板前としての指南を受けている。
「花がすみ」は、狭い店内から人が溢れ出そうなほどの客の入りであった。それもそのはずで、今は昼刻のかき入れ刻である。
「花がすみ」は江戸の外れ、小さな一膳飯屋だ。主人の喜六郎はいかつい顔には似合わぬ無類のお人好し、料理の腕は一級である。かつては京の料亭で板前として本格的な料理を作っていたというだけあり、その腕はなかなかのものだ。
お彩は「花がすみ」で仲居として働き始めて、もう七年になる。目下のところは仲居兼板前見習いといったところで、これまでどおり仲居としての仕事もこなしながら、喜六郎に板前としての指南を受けている。

