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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第43章 第十六話 【睡蓮】 壱

お市の死によって、泰助の自分への憎悪がいっそう烈しくなったことも市兵衛は心得ている。それでも、現在は過去のわだかまりはわだかまりとして、泰助は京屋のために忠勤を励んでいるし、市兵衛を京屋の主として認めている。実際、数人いる手代たちの中でも、やはり泰助の才覚や機転はずば抜けていて、市兵衛も自ずとこの男を片腕にと頼むようになるのだった。
「旦那さま、後へお引き下さい」
泰助が鋭い叫び声を放った。
その声とほぼ時を同じくするように、ガラガラと音を立てて真横に一列に並んだ材木が一斉に倒れてきた。
「旦那さま、後へお引き下さい」
泰助が鋭い叫び声を放った。
その声とほぼ時を同じくするように、ガラガラと音を立てて真横に一列に並んだ材木が一斉に倒れてきた。

