この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第42章 第十五話 【静かなる月】 其の四

でも、抜け目のないといった点では、やはり遊女屋の主、計算高いし、女を売り買いの道具としてしか見てはおらぬことに変わりはない。
「流石に、旦那さまのお眼がねに叶った妓だけはあるようですがね」
おしがは複雑そうな表情で頷く。どこの見世にも遣り手と呼ばれる、おしがのような女がいる。要するに、女郎を監督する係を負っており、遊女が勤めを怠けたり、足抜けをしたりしないように厳しく監視の眼を光らせるのがその主な仕事である。
大抵は女郎上がりの女が歳を取ってもう客を取れなくなってから、遣り手におさまることが多い。ゆえに、遣り手も女郎の悲哀は嫌というほど身に滲みているはずなのだが、一度遣り手という女郎を見張る役目につくと、情ばかりに溺れていられないのが実状であった。
「流石に、旦那さまのお眼がねに叶った妓だけはあるようですがね」
おしがは複雑そうな表情で頷く。どこの見世にも遣り手と呼ばれる、おしがのような女がいる。要するに、女郎を監督する係を負っており、遊女が勤めを怠けたり、足抜けをしたりしないように厳しく監視の眼を光らせるのがその主な仕事である。
大抵は女郎上がりの女が歳を取ってもう客を取れなくなってから、遣り手におさまることが多い。ゆえに、遣り手も女郎の悲哀は嫌というほど身に滲みているはずなのだが、一度遣り手という女郎を見張る役目につくと、情ばかりに溺れていられないのが実状であった。

