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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第40章 第十五話 【静かなる月】 其の弐

最初から破滅へ向かうと判っている道を何ゆえ、人は選ぼうとするのか。黄金(こがね)の輝きは、それほどまでに、魔に魅入られたように人を魅了するのだろうか。
「旦那さんは、今日は一日ゆっくりお休みになっていて下さいね。花の時季も終わったことですし、今日くらいなら、お店の方は私が一人で何とかしますから」
お彩は明るい声音で言うと、立ち上がった。
「おい、お彩ちゃん」
背中を向けたお彩に、喜六郎の声が追いかけてくる。
「くれぐれも妙なことを考えるんじゃねえぞ。これはもう決まったことなんだ。今更じたばたあがいてみたところで、事態は何一つ変わりゃアしねえ。お前は思いつめると、何をしでかすか判らねえところがあるから、俺は心配でならねえ。
「旦那さんは、今日は一日ゆっくりお休みになっていて下さいね。花の時季も終わったことですし、今日くらいなら、お店の方は私が一人で何とかしますから」
お彩は明るい声音で言うと、立ち上がった。
「おい、お彩ちゃん」
背中を向けたお彩に、喜六郎の声が追いかけてくる。
「くれぐれも妙なことを考えるんじゃねえぞ。これはもう決まったことなんだ。今更じたばたあがいてみたところで、事態は何一つ変わりゃアしねえ。お前は思いつめると、何をしでかすか判らねえところがあるから、俺は心配でならねえ。

