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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第38章 第十四話 【雪待ち月の祈り】 其の四

しかし、お彩は、これだけは頑として譲ろうとはしなかった。最後まで、喜六郎の説得に応じようとはしなかった。
そして、一夜明けた今朝、お彩は約束の刻限より少し前に「花がすみ」にお美杷を伴い、やってきた。朝まだ早くとて、お美杷は眠っている。
「本当にこれで良いのか。今、手放せば二度と逢えねえかもしれねえんだぞ」
傍らの喜六郎が不安を滲ませた声で問う。
お彩は無言で頷く。
表で呼び声が聞こえた。京屋の手代頭泰助の声に相違なかった。
喜六郎が慌てて立ち上がり、表へと飛んでいったかと思うと、直に引き返してきた。手代頭が乳母を連れ、お美杷を迎えにきたという。
そして、一夜明けた今朝、お彩は約束の刻限より少し前に「花がすみ」にお美杷を伴い、やってきた。朝まだ早くとて、お美杷は眠っている。
「本当にこれで良いのか。今、手放せば二度と逢えねえかもしれねえんだぞ」
傍らの喜六郎が不安を滲ませた声で問う。
お彩は無言で頷く。
表で呼び声が聞こえた。京屋の手代頭泰助の声に相違なかった。
喜六郎が慌てて立ち上がり、表へと飛んでいったかと思うと、直に引き返してきた。手代頭が乳母を連れ、お美杷を迎えにきたという。

