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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第37章 第十四話 【雪待ち月の祈り】 其の参

今の気持ちを喪わないで喜六郎さんにこれからもみっちりと仕込んで貰えれば、近い将来、必ずや立派な板前になれますよ」
お彩は眼が熱くなった。ああまで酷いことを言ってのけた生意気な後輩を、安五郎は手放しで賞めてくれる。恐らくお彩が考えている以上に度量の広い懐の大きい男なのかもしれなかった。
「ありがとうございます。まさか安五郎さんにそんな風に言って頂けるとは思わなかったから、私、嬉しいです」
安五郎は眼を細めて、お彩を見つめた。
「そのように素直に感情を表現できるそののびやかさがある限り、大丈夫、お彩さんは必ずひとかどの料理人になります。料理人に必要なのは腕前だけではなく、実のこもった心なのだと大切なことに気づかせて貰った―、はるばる江戸まで来た甲斐があるというものです。
お彩は眼が熱くなった。ああまで酷いことを言ってのけた生意気な後輩を、安五郎は手放しで賞めてくれる。恐らくお彩が考えている以上に度量の広い懐の大きい男なのかもしれなかった。
「ありがとうございます。まさか安五郎さんにそんな風に言って頂けるとは思わなかったから、私、嬉しいです」
安五郎は眼を細めて、お彩を見つめた。
「そのように素直に感情を表現できるそののびやかさがある限り、大丈夫、お彩さんは必ずひとかどの料理人になります。料理人に必要なのは腕前だけではなく、実のこもった心なのだと大切なことに気づかせて貰った―、はるばる江戸まで来た甲斐があるというものです。

