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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第37章 第十四話 【雪待ち月の祈り】 其の参

安五郎はどこまでも控え目な人柄のようである。それは、お彩が彼に抱いた第一印象と変わらない。その控え目さは伊勢次を彷彿とさせるが、伊勢次よりももっと芯の強そうな感じがした。思ったことは貫く不屈の意思のようなものを内に秘めているような印象だ。
頭上高く、鳥の鳴き声が聞こえる。
それを合図とするかのように、お彩が沈黙を破った。お彩は言葉を選びながら、ゆっくりと話した。
「ありがとうございます。私のような女にそこまでおっしゃって下さるお気持ちは、とっても嬉しいです。でも、今は、娘も小さいし、母子(おやこ)二人だけで生きてゆくのに精一杯で自分のことは考えられません」
また沈黙。安五郎は穏やかな笑みを浮かべた。
頭上高く、鳥の鳴き声が聞こえる。
それを合図とするかのように、お彩が沈黙を破った。お彩は言葉を選びながら、ゆっくりと話した。
「ありがとうございます。私のような女にそこまでおっしゃって下さるお気持ちは、とっても嬉しいです。でも、今は、娘も小さいし、母子(おやこ)二人だけで生きてゆくのに精一杯で自分のことは考えられません」
また沈黙。安五郎は穏やかな笑みを浮かべた。

