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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第37章 第十四話 【雪待ち月の祈り】 其の参

「私は江戸生まれの江戸育ちで、京の都にはまだ一度も行ったことがありません。でも、清水寺や八坂神社の名前くらいなら耳にしたことがあります。京のお方にそんな風に賞めて頂いて、江戸っ子としては嬉しいです」
お彩が微笑んで言うと、安五郎はハッとしたように頬を赤らめた。
「いや、年甲斐もなく興奮してしまいました。でも、ここの紅葉は良いですね。先ほども申しましたとおり、名所と呼ばれる割には、俗っぽくなくて―手垢のついていない感じがする」
「あまり人がいないせいでしょうか」
お彩が言うと、安五郎は改めて周囲を見渡した。確かに、お彩と安五郎の他には人影は全くない。池の周辺は森閑と静まり返っている。
お彩が微笑んで言うと、安五郎はハッとしたように頬を赤らめた。
「いや、年甲斐もなく興奮してしまいました。でも、ここの紅葉は良いですね。先ほども申しましたとおり、名所と呼ばれる割には、俗っぽくなくて―手垢のついていない感じがする」
「あまり人がいないせいでしょうか」
お彩が言うと、安五郎は改めて周囲を見渡した。確かに、お彩と安五郎の他には人影は全くない。池の周辺は森閑と静まり返っている。

