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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第36章 第十四話 【雪待ち月の祈り】 其の弐

しかし、喜六郎は己れのできる精一杯のことをしてやるつもりであった。十四で母を喪い、二十歳で父を喪った、それも少女が誰より慕うその父親は彼女の実の父親ではなかった。その苛酷な運命(さだめ)を背負った幸薄い娘とめぐり逢ったのも何かの縁だろう。
人間は皆一人では生きられない。人は誰もが御仏が与え給う運命(さだめ)を生き、人と人を繋ぐ縁(えにし)もまた、御仏が定め給うものだと喜六郎は常に考えている。
ならば、喜六郎の縁(えにし)の糸とお彩の縁の糸が交わったのも何かの意味があるのだ。喜六郎はかつて彼がお彩自身に語ったように伊八との約束を守るつもりだ。まだお彩の父伊八が健在であった頃、喜六郎は伊八に言ったことがある。
人間は皆一人では生きられない。人は誰もが御仏が与え給う運命(さだめ)を生き、人と人を繋ぐ縁(えにし)もまた、御仏が定め給うものだと喜六郎は常に考えている。
ならば、喜六郎の縁(えにし)の糸とお彩の縁の糸が交わったのも何かの意味があるのだ。喜六郎はかつて彼がお彩自身に語ったように伊八との約束を守るつもりだ。まだお彩の父伊八が健在であった頃、喜六郎は伊八に言ったことがある。

