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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第31章 第十二話 【花見月の別れ】 其の弐

「おきわさん―」
お彩が涙ぐむと、おきわが微笑んだ。
「もう一度、おっかさんと呼んでおくれでないか」
弱々しい力でおきわの手が差し伸べられる。
お彩は、その手を両手でしっかりと握った。
「おっかさんー」
呼ぶと、おきわの皺に埋もれた細い眼から透明な雫が溢れ出し、艶のない頬をころがり落ちた。
おきわの流した涙は、お彩の手にもポタポタと落ちる。お彩は、おきわの手を握りしめたまま、その涙に濡れた自らの手を頬に押し当てた。
お彩が涙ぐむと、おきわが微笑んだ。
「もう一度、おっかさんと呼んでおくれでないか」
弱々しい力でおきわの手が差し伸べられる。
お彩は、その手を両手でしっかりと握った。
「おっかさんー」
呼ぶと、おきわの皺に埋もれた細い眼から透明な雫が溢れ出し、艶のない頬をころがり落ちた。
おきわの流した涙は、お彩の手にもポタポタと落ちる。お彩は、おきわの手を握りしめたまま、その涙に濡れた自らの手を頬に押し当てた。

