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よくある恋愛モノ 〜おあずけ〜
第8章 オレもキミが好きってことだよ
時は数時間前に戻る
年相応に、少しお洒落なくらいのカフェで話し込む男女
その幸せそうな笑顔は、男の兄のような苦悩をまだ知らない、無邪気なものだ
「……そろそろ帰らないと」
美和の言葉に時計をちらっと見て、凪は舌打ちをした
「ああ……そうだな」
そのまま立ち上がった凪を美和は慌て引き止める
「ちょっと、まだお金の計算してないでしょ」
「?」
凪の不思議そうな顔に彼の考えを読み取った美和は溜め息をついた
「生徒間での金銭のやり取りは禁止。トラブルのもとになるから」
「別に俺たちなら……」
「例外はありません」
相変わらずの堅実さできっぱりと述べる
「ハァ……しょうがねぇな」
とはいえバイト禁止でお小遣いにも限りがある高校生にとってはありがたい話であった
会計を済ませて外に出ると、冷たい風が二人の頬を撫でる
「……今年ももう終わりだね」
「……そうだな」
長かったような、短かったような
「色々あったね」
「……そうだな」
生真面目な美和の性格も、無愛想な凪の態度も、何一つ変わっていないようで、きっと少しずつ違う

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