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秘密の二段ベッド
第5章 お兄ちゃんの決意

「えーっそんなことないもんっ」
ほっぺを膨らませてあやねが言う。
「……相手がいなくちゃね」
「んー。あやね、お兄ちゃんがいいなぁ」
「えっ」
「お兄ちゃんなら、優しいし、かっこいいし」
言葉をつづけながら無邪気に笑うあやねは本気でそう思ってるみたいだった。
僕は繋いだ手が汗ばんでいくのを感じた。
まだ小さいから。意味も解らず言ってるだけだから。
そう思っても胸がドキドキして止まらない。
この手を離したくないのは、本気でそう思っているのは僕の方だと解っていたけど、僕は思わず口走っていた。
「じゃあ皆には内緒にしなきゃ」
「?」
「僕たちは兄妹だから、あんなふうになるのは大変だよ」
「えーっそうなの?」
「そうだよ。お父さんとお母さんがびっくりしちゃうから」
「そうなんだぁ」
あやねが残念そうにしょんぼりする。
「あやねが内緒にできるなら、将来僕が何とかしてあげる」
そう言うと、あやねの顔がぱっと明るくなった。
「本当っ?」
「うん。その代わり皆には内緒だから、こんなふうに人前で手を繋いだりはしちゃいけないよ」
「えー」
「内緒にしなくちゃ」
「うん……」
あやねが繋いでいた手を緩める。
離れてしまう前に強く握って、
「僕もあやねをお嫁さんにしたいよ」と告げた。
「じゃあそれまで我慢する」
あやねは照れたように笑って指先できゅっと僕の手を握りしめた。
その日の約束の通り、僕らはもう長いこと手を繋いでいない。
ほっぺを膨らませてあやねが言う。
「……相手がいなくちゃね」
「んー。あやね、お兄ちゃんがいいなぁ」
「えっ」
「お兄ちゃんなら、優しいし、かっこいいし」
言葉をつづけながら無邪気に笑うあやねは本気でそう思ってるみたいだった。
僕は繋いだ手が汗ばんでいくのを感じた。
まだ小さいから。意味も解らず言ってるだけだから。
そう思っても胸がドキドキして止まらない。
この手を離したくないのは、本気でそう思っているのは僕の方だと解っていたけど、僕は思わず口走っていた。
「じゃあ皆には内緒にしなきゃ」
「?」
「僕たちは兄妹だから、あんなふうになるのは大変だよ」
「えーっそうなの?」
「そうだよ。お父さんとお母さんがびっくりしちゃうから」
「そうなんだぁ」
あやねが残念そうにしょんぼりする。
「あやねが内緒にできるなら、将来僕が何とかしてあげる」
そう言うと、あやねの顔がぱっと明るくなった。
「本当っ?」
「うん。その代わり皆には内緒だから、こんなふうに人前で手を繋いだりはしちゃいけないよ」
「えー」
「内緒にしなくちゃ」
「うん……」
あやねが繋いでいた手を緩める。
離れてしまう前に強く握って、
「僕もあやねをお嫁さんにしたいよ」と告げた。
「じゃあそれまで我慢する」
あやねは照れたように笑って指先できゅっと僕の手を握りしめた。
その日の約束の通り、僕らはもう長いこと手を繋いでいない。

