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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第28章 奪回

その瞬間にミレイは言葉を失い
ぴたりと動きを止めてしまった。
床に落ちた帽子には、警察のマークが刺繍されている。
「──…」
「…もう一度、聞く」
男は彼女の肩を掴んで自分の方に向けさせた。
ミレイは目をチカチカさせながら、彼の茶色の瞳を……金色の髪を見る。
「あんたは、誰の迎えを…待っている?」
「……、…カルロ、さん…」
「…何故?」
「会いたかった から…」
「……単純だな」
腰を抜かしそうになったミレイを、すかさず男は抱きかかえた。
「だったら俺から離れないでくれる?
──…拐いに来るの……面倒、だから」
彼女を抱えたまま帽子を拾い、顔が隠れるまで深く被り直す。
けれどミレイの位置からはしっかりと彼の表情を確認できた。
気怠げな目。
対照的にキリリとした眉と、眉間のシワ。
その男は、放心状態の彼女を真っ直ぐな瞳で射止めた後、ふいと顔をそらした──。

