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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第20章 猫と、彼の闇

お礼を言うためにカルロに会いにきたのだろうか。
ミレイはそんなふうに考えた。
“ あの子、カルロさんに近付こうとしてるよね ”
草むらからカルロを見上げる猫は、今にも縁側に飛び乗りそうだ。
彼の様子をうかがいながら
黄色い目が見つめている──。
「……」
カルロの首が動く。
彼は寝ていなかった。猫の存在にも気付いており、その視線はまっすぐ庭に向いていた。
《 これ以上 近付くな 》
もし相手が人間なら、彼の沈黙が言わんとしている事を察するだろう。
だが相手は小さな動物なのだ。
無言のカルロの威圧を無視して、猫は可愛く鳴いたのだった。
ニャン
「──…」
ここでミレイが登場して、この二人の見つめ合いに水を指すわけにいかない。
広縁に立ち止まったまま息を殺し
この不思議な構図を見守るミレイだった。

