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禁断の果実に口づけを
第20章 道標
「私が知っている限りでは、朋子さんが一番だったはずよ」
「所詮、奥様には勝てませんよね…」
「勝つ負けるじゃないよ。
今は昔と違って、一緒になりたいと思えば叶わないわけでもないでしょ…。
それをするしないは当人同士が決めればいい」
「……今更なんですが、健さんの家庭を壊す気なんてなかったんです。
生きる糧として、健さんと過ごす時間が欲しかった」
「そう。
なら、優美子さんの気持ちも分かるのよ。
中途半端だから余計に腹が立ったんじゃないかしら?」
「そうですよね…」
【ブゥーブゥーブゥ………】
真雪のバッグの中の携帯が鳴る。
「あら、健かしら?
一応、朋子さんには会えた事はメールしたから」
そう言いながら、バッグの中の携帯を取る真雪。
「あら、ヤダ。優美子さんだわ……
あっ、朋子さん、私、外でかけ直してくるから待ってて!
私と朋子さんが会ってるのは知らないはずだから大丈夫よ」
そう言いながら、携帯を持ち、店の外に向かう真雪。
朋子は嫌な予感がしながらも、真雪が帰って来るのを待つしかなかった。
メンソールのタバコを手に取り火をつけた。
ずっと真雪の手前我慢していたが、精神安定剤の様に手放せない。
フゥーと吐き出し、真雪に言われた事を含め、健とのこれからの事を考えていた。

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