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双眸
第3章 悦

「………お前が俺から離れていくことを、本当に望んでいると思うか?」
不意に聞こえた睦鬼の囁きに瑞乃は顔を上げて睦鬼を見つめる
「……ずっと一緒だったんだ……」
睦鬼が辛そうに眉根を寄せて呟きながらその端正な顔を歪めた
「睦鬼……」
睦鬼はギュッと瑞乃を抱き締める腕に力を込めると瑞乃の肩口に顔を埋めた
目の前に広がる闇に瑞乃は二、三、瞬きを繰り返す
睦鬼も離れたくないと思ってくれているのかもしれない―――
苦難も困難も二人で乗り越えてきた、そんな確かな絆が自分達にはある。と瑞乃は睦鬼の抱き締める力強い腕にそう言われている気がした
睦鬼の顔は視界からなく伺い知ることは出来ないが瑞乃は睦鬼の背中に腕を回す

