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人魚姫の唄声
第1章 人魚姫。
「碧、碧…気持ちいいよ。碧はどうだい。俺を感じてくれてるのかな?気持ちいいかな?」

 拓海は更にピストンを激しくさせる。

「あっ、あっ、あぁ…んっ。」

 吐く息と共に喘ぎ声を出す。以外と声が出ていることに自分で驚く。
 
「碧、可愛いね。可愛い声だよ。俺だけに啼いて。ああっ…はあっ…。」

 拓海も余裕がなくなってきたみたいで、下からの突き上げが激しさを増す。
 肌と肌が当たる音と、水音。
 拓海の喘ぎ声と、私の吐く息。
 ソファの軋む音。
 
 思い返せば、こんなに誰かに求められたことなんてなかった。

 それは身体とかセックスだけではなく、親からの期待や姉からの信頼とか。学校の先生やクラスメイト達からも。
 きっと、私は周りからしたらつまらない人間なんだ。

 誰からも求められず、必要とされず。
 
『拓海は私のこと、好き?』

 拓海は私の手話に気がつき、ニッコリ微笑む。

『大好きだよ。』

 拓海は手話で返す。

 繋がったまま身体をソファに倒され、脚を抱えられ正常位になる。
 拓海を仰ぎ見ると、顔が紅潮し今にも達しそうになっている。

 もっと奥まで入れて欲しいと腰を押し付ける。
 
 こんなに、拓海が好きで堪らない。
 
「もう、逝きそうだ…。碧…碧は、どうかな?逝きそうかな?」

 私なんてどうでもいいのに。
 拓海が気持ち良かったら、それでいのに。

「…ちゃんと、碧も気持ち良くなって。一緒に逝こう?」

 拓海の労りと、優しさに胸が熱くなる。
 たかが、セックスなのに。お互い、性欲を吐き出してるだけなのに。
 
「中に、出したらダメだから。身体にかけて、いい?」

 私は首を振る。

「…碧。」

 拓海は躊躇う。
 頭の中が真っ白になる。
 子宮の奥から、じわっと快感が湧いてくる。
 拓海にしがみつき、オーガズムを感じて中で達する。

「あぁっ…!碧っ…もう、出るっ…!!」

 腰を私に大きく打ち付け、白濁とした欲望の液体を中に爆発させる。

 わたしの中の拓海は時々、ピクピクとして果てる。

 繋がったままぐったりとした私の身体を抱きしめ、頰ずりをする。

「…なんて、愛おしいんだ。」

『姉さんよりも?』

「もちろん。栞よりも。」

 拓海の髪が私を擽る。
 何度も抱かれても、抱かれてもこの想いは尽きない。




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