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私は犬
第18章 残り49回です*
退社後、いつものように用意されたホテルの1室で、バタバタと剛ちゃんに支度を整えられて、ロビーで会食相手の方々と面談し、どこかのレストランへ連行される。

こういう時は大概、最上階にあるレストランに連れて来られて。フレンチとか、イタリアンとか、稀に和食とか。和食はともかく、他はもう飽きた。うんざりだわ…。

たまに、同じ方と会食する事もあって、今日のお相手も2回目。あれ?3回目?どうでもいいけど、この方誰だっけ?

気付かれないように、そっとお相手の顔を盗み見てから窓の外に視線を移した。

音羽さんより目が小さい。唇元もなんか変。お鼻の下が青いのはどうしてかしら?

みんな、なぜ、高い所が好きなのかしら?こんな虚しい景色を見ながらお食事だなんて、イカれてるわ。

確かに綺麗よ。だけど寂しすぎない?手を伸ばしても触る事すら叶わない、この景色のどこがいいのよ…。ごはん、美味しくない…。味なんて分からない…。

やっと解放されて、剛ちゃんの待つ部屋に戻ると、待ってましたとばかりに着衣が剥ぎ取られる。

「お疲れ様。今日は、新しいエステティシャンの方をお呼びしてあるのよ。」

と、知らないお姉さん方を紹介されて、準備された施術台の上に横たわる。

お姉さん方は、何故か色の付いたマスクをしていて、じっと見ていると

「最近、この、多機能の色付き使い捨てマスク、流行っているんですよ。便利でお洒落ですよね。」

「施術時は必ずマスクを身に付けるので、重宝してます。他の色もあるんですよ。」

と、説明してくれた。そうなんだ。それを作った人は有能ね。
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