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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第9章 小平太という男
―楚々としていながら、凜とした佇まいが何となく薫ちゃんに似ているような気がしたんだ。
 今度は小平太の声が甦った。
 芙蓉石の花びらをそっと人差し指で辿る。〝芙蓉〟の名前から、ふっと実家の庭が眼裏に描き出された。
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