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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第9章 小平太という男
 その時、薫子はふと思い至った。仮に、自分と帝の立場を置き換えてみたとしたら、どうだろう。
 帝たる承平がもし他の姫君から贈られた品を嬉々として身に付けていたとしたら―。たったそれだけのことで嫉妬するほど狭量ではないもつもりだけれど、これから先、帝への恋慕が募るばかりでは、自分の心のありかさえ自信は持てない。
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