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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第9章 小平太という男
「そいつは重畳だ。また何か困ったことがあれば、すぐに知らせてくれ。力になるよ」
「お願いね」
 小平太は今度こそ踵を返し帰ってゆく。その姿が狭い路地から大通りへと至る四つ辻を曲がるまで、薫子はその場に立ち尽くしていた。

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