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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第9章 小平太という男
「そうね」
 薫子も素直に納得した。
「迷惑でなければ、貰ってくれよ」
 そうまで言われて、無下に断ることもできない。薫子は言われるままに櫛を押し頂いた。
「ありがとう。大切に使わせて頂きます」
「じゃあな。俺はこれで帰るから」
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