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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第9章 小平太という男
 血の繋がらない関係でありながら、屋敷を出る薫子に付いてきてくれた乳母を思い出した。二年間、貴族の屋敷勤めしか知らなかった女が身を削るようにして働いて薫子を養ってくれた。
 一方でそんな女もいれば、我が腹を痛めた子を棄てる女もいる。
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