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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第19章 水蜜桃の戯れ
 堕ちて、ゆく。どこまでも、どこまでも果てしない地の底へと。栄子は思わず救いを求めるように手を差しのべながら、その意識をゆっくりと手放した。あまりにも烈しい絶頂に、ついに意識を飛ばしてしまったのだ、水底(みなそこ)に沈むように再び闇に飲み込まれる直前、誰かの温かな手がしっかりと栄子の手を握りしめてくれるのが判った。
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