この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
真実アイロニー【完結】
第16章 琥珀。
琥珀に会いたい。
どうしたら琥珀に会える?
いつの間にか、数ヶ月経ったよ。
あっという間だった。
毎日琥珀を想い出して、何度も何度も後悔するんだ。
そして、何度も自分を責めるんだ。
どうして、私は死ねなかったのって。
ああ、そうか。
私が死ねばいいのか。
目の前にあったのは、カミソリだった。
それで躊躇なく手首を切った。
血がたくさん浮かんで、滲んで来て。
……何で、生きてるんだって思った。
何度も何度も手首に線を付けては、同じ事を思った。
死にたくて死にたくて、だけど死ねなくて。
右耳の赤いピアスを触っては、奥歯を噛み締めた。
涙なんて流さない。
私は笑わない。
泣かない。
何かを見て、感動する事もしない。
私はもう、人形でいいよ。
感情のない人形。
琥珀だけを想う、人形。
気付けば私は、感情を一切表に出さなくなった。
そして、いつしか癖の様に桜を見上げる様になった。
琥珀がしていた様に。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


