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クラス ×イト
第15章 じゅバく 【赤緒礼華】
 自分で何かを決めてきたことなんて、果たしてどれ程あったのだろうか。否、少なくとも、恐らく自分の人生に関わるような、そんな選択なんて――私はしたことがなかった。

「……」

 暫くの間、じっと俯き考える。だけど、一体――何をどう考えればいいと言うのか?

 でも、このままでは、私は……。その先に待つのは、ドロドロとした怖い世界。私はまだ想像の届かない何かを、それでも想像して――それを、恐ろしく感じていた。

 その時――咄嗟にドアを開いた私は、『自由』という名の夜道に駆け出す。

 すると――その背中から。


「礼華ちゃん!」


 私に続き車を降りていた、白岩さんの声が聴こえた。


「――!」


 そう……結局は、逃げることなど許されはしない。そう感じた足を止めた私は、ゆっくりと後ろを振り向いた。

 そして――

「……」

 初めて憎しみを宿した瞳で、白岩さんを睨みつけてゆく。

 だけど、そんな私の気持ちに反するように、白岩さんは優しい顔で微笑んだ。


「サヨウナラ――元気でな」
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