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獣日和
第1章 はじまり

「一緒に暮らしてみるって……三人で!?」
「そっ。嫌か? 俺達とルームシェアするの」
「嫌っていうか……このアパートでするの?」
「ここ以外どこがあるんだ。あ、俺達の実家?」
「…………」
実家はもっと無理。
樹にそう答えられず、咄嗟に口ごもる。
「ふみちゃん、実家出たいって前から言ってたよね? それに、ふみちゃんのご両親も俺達と一緒に暮らすなら賛成してくれると思うよ」
「それは……」
ニコリと微笑む桜太に対しても、返す言葉が見つからなかった。
桜太の言うとおり、ふみには高校を卒業してから一人暮らししたいという憧れがあった。
しかし両親から『年頃の女の子が一人で暮らすのは危ない』と今まで反対され、出来なかったのだ。
……両親から信頼のある二人と暮らすというなら、もしかしたら賛成してくれるかもしれない、という桜太の言い分は一理ある。

