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初音さんの二十日間
第8章 鬼の居ぬ間の
「ただいまー!!!」

玄関を勢いよく開けると美味しそうな湿度にほんわりと包まれた。

「あ、おかえりなさい、ってなにその息切れ!?」

「か、階段を…駆け上がって…みました」

エレベーターは最上階で止まっており、待ちきれない私は焼酎をぶら下げて非常階段を一段抜かししたのだ。

「わけわかんねー。なんかの罰ゲームすか?」

「せ、青春だ」

「はぁ?ますますわかんねー」

「わかんなくていい。ほら土産だ」

コンビニの袋を突きだして、ヨロヨロとリビングに向かうあとから

「なんで焼酎!?わっかんねー!」

追いかけてくる柊二くんのゲラゲラ笑う声に涙が出そうなほど安堵して、その場にへたりこんだ。



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