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新月
第6章 隠し事
「美月さま、おはようございます。
朝食をもって参りました。」
チヨは、美月の部屋の前で、声をかけた。
「はい。お願いします。」
美月の承諾を得て、襖をあける。
フワリ———。
何度か、嗅いだ藤の花の香りが、鼻腔をくすぐる。
チヨは、美月の前に朝食を用意する。
「遅くなりました。」
そういい、頭を下げる。
「ありがとうございます。」
そうして、食べるのを待っていたチヨだが、
美月は一向に、食べる気配を見せず、手は、膝の上のままであった。
(?
わたし、何か粗相したかしら??)
不安になり、美月に遠慮がちに聞いてみる。
「美月さま、
…私が何か粗相いたしましたでしょうか?」
美月は、かぶりをふり、瞼は閉ざしたまま、動かないでいた。
そして———
「チヨさん、
気付いているかもしれませんが、私は………
盲(めしい)です……。)

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