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タンバリンでできたオーロラ
第27章 ヌーディスト課長

「きっ……貴様ぁっ!」
様ぁの所を「しゃまぁ」って感じで発音して専務がいきり立つ。
そのとき、不意にストロボ光が、デジタルシャッター音とともに走った。
「なっ……」
突然の事に目を白黒させる専務に向かって、課長が手にした携帯の画面を突きつけていた。
そこにはいきり立つ専務がバッチリと写り込んでいた。
「お座りいただけますか? 専務が暗にお示しになったような条件は謝罪として受け入れかねます。また、そのような反社会的な行為を要求されるのであれば、それは当社の対応可能な範疇ではございません」
平然と、姿勢を崩しもせずに言ってのけの姿は思わず見とれてしまうほどだった。
俺も専務も、一方は背広で、一方はすっ裸でという違いはあったが、同じ呆気にとられた顔でポカンと課長を眺めていた。
「それでは、これで引き取らせて頂きますね」
彼女はニッコリ笑って立ち上がり、俺にも目で促す。
「ま、待てっ……それで済むと思っているのかっ!」
そうだわな。
専務が我に返って怒鳴り声を上げる。
「それで済むかどうかそちらでは? この写真は猥褻物陳列の証拠として預からせて頂きますわ」
「わっ……猥褻物っ……? ワシはヌーディなんじゃ! 裸で何が悪い!」
「裸でいることと、勃起したものを見せつけることは違いますのよ。勃起は猥褻な行為をする意志によって生じるものですから」
「これは朝立ちじゃあっ!」
「証言は法廷でどうぞ。……訴える気がおありなら」
やりとりはともかく、最後だけはドラマのようなのセリフを残して、課長は踵を返し、俺もそそくさと退散した。

