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タンバリンでできたオーロラ
第23章 熱量

その口づけはとても静かだった。
ためらいを見せる彼女。
少し強引に導いたのは僕のほうで、だから唇が触れるその瞬間はわかっていたはずなのに、それなのに。
いつの間に……?
そう思ったほど、彼女の口はすんなりと僕を受け入れた。
口で愛されながら、上下するリズムに合わせて僕は彼女の髪を優しく撫ぜる。
彼女もまた優しく僕を愛してくれる。
開かれた唇は僕の太さ、昇り降りする動きは僕の長さ。
塗りつけられるのは透明な絵の具。
その冷たい塗布が、熱く疼いていた肉に心地良い。
奪い取られた僕の熱量は、彼女の情熱となって愛をますます激しいものにするようだ。
画家の巧みな筆さばきのように、舌先が先端の細かな造形を捉え、僕は名画に感嘆を漏らすギャラリーとなる。
「僕のこれ……好きなの?」
「……っ」
甘く囁く僕に、咥えたまま答える彼女。
声にならないほどの微かないらえは、はっきりとした言葉にならない。
だが、それは肯定だ。

