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タンバリンでできたオーロラ
第17章 運命

私の名前はというとヤスリ。
友達からはヤスりんと呼ばれている。
漢字で書くと「矢澄里」。
漢字で書けばなんてことないフツーの名前なんだけど、読み方がちょっとなあ……。
子供の頃なんかはよくからかわれた。
ヤスリ、ヤスリ、紙ヤスリ♪
囃す声が今でもときどき甦る。
まあ、私もけっこうガサツというか、腕白な女の子だったので、不届き者には常にヤスリがけをして成敗してきてやったのだが。
もちろん、サンドペーパーじゃない方のヤスリでだ。
中学、高校を通して、私の学生鞄にはいつもヤスリが忍ばせてあった。
口さがない同級生たちからは「スケ番みたい」などと言われたが、気にしない。
実際、いつでもガッコーを締めれる自信はあった。
興味はなかったけどね。
スケ番刑事にはちょっと興味があった。
ヨーヨーじゃなくてヤスリで戦う自分。
そんな姿を空想したことは確かにあった。
今では思い出すだけで恥ずかしい気持ちになるけれど。

