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最後の一色
第2章 男が求めるのは

「あなたはとても美しい。
 あのビルにむかって歩いている時から、あなたは眼を引いていた。
 どこか切羽詰まった感があって、それがまた美しさを引き立てている・・
 なんといってもその表情に魅かれました・・
 先ほども言った通り、顔を合わせた瞬間とついさっき、そして今とでは
 あなたの表情は変化に富んでいる。そこに魅力を感じているんです」

田原は穴が開きそうなほどの勢いで美紗緒を見つめた。


美紗緒は美しい。

いつもどの場にいてもひときわ美しさを放っている存在として、
周囲から羨む眼差しを注がれてきた。

だが当の本人はあまり華やかさを好まない。
ひっそりと片隅で花を咲かせる・・そんな立ち位置が好きだった。

それでも、片隅の花は人目を引く。
田原の目も、しっかりと花を見つけたのだ。
自分が描こうとしている裸の女・・
頭の中で思い描いていた以上のモデルだ、と一目で心魅かれた。



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