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第7章 恋い焦がれる獣

｢お前な……雰囲気も何も台無しだろ……声でかすぎだ｣
｢だって！キャー！｣
｢うおっ｣

　美名は、真っ赤な顔をふせたままゲンコツで胸をボカボカ叩いてくる。

（――もはや叩くっていうレベルではないだろう……
　完全に殴ってやがる）

｢ち……ちょっと……まて｣

　美名は綾波に馬乗りになり尚も殴り続けた。

｢恥ずかしすぎて無理――！もう――っ｣

　暴れる美名の腕をやっとの思いで綾波が掴むが、今度は頭を鳩尾にドスッと落としてきた。

｢ぐっ！頭突き……かよっ｣

　思わず咳き込むと、美名の動きが止まった。
　頭を鳩尾に埋めたままでギュッとしがみついてくる。