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第23章 恋情にのたうつ獣

｢あ、あああ綾ちゃんっ！｣

　三広は、側で眠る亮介を気にして手足をばたつかせる。
　男にしては小柄な三広は抱くにはちょうどいい体型だ。
　顔つきも女みたいに可愛くて、もし三広が女だったら綾波のど真ん中だった。
　三広は女との経験がない。
　昔のトラウマのせいで、女を怖いと思っているのだ。
　だが、決して男が好きな訳でもない。
　女に好意も持つし欲情もする。
　ただ、どうしても女とそういう関係に持っていけない。
　三広のそんな事情を知ったのは、デビューして少し経った頃だった。
　生意気な祐樹と違い素直な三広は綾波に懐いていた。
　ある日、打ち上げの後でマンションで飲み、そんな話になったのだ。
　三広と初めて身体を重ねたのはその夜だった。
　放って置けなかった。