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eyes to me~ 私を見て
第58章 歌姫を見守る獣

だが美名は違う。
無理矢理その身体を奪った俺は憎まれても当然だった。
はなから美名に愛されようとは思って居なかったのだから。
ほなみに似た顔と身体が欲しかっただけだ。
なのに、美名を抱いたその時から夢中になってしまった。
呼ぶ甘い声も、からかうとすぐに紅く染まる頬も、背中に絡み付いて来るそのしなやかな腕も柔らかい唇も、すぐに潤む水気を含んだ瞳もーー何もかもを愛してしまった。
美名も、俺を愛していると言ってくれた。
堪らなく幸福だった。
俺の過去を知った時の美名の怯えた目を見た時、自分の諦め癖が頭をもたげてしまった。
――ああ、やはり駄目だ。俺はまた愛されずに終わる、と。

