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第8章 あなたが欲しい

「球迦……私を抱いて……」

　まっすぐに見つめる舞香のまなざし。
　瞳の中に、僕。

　フォロログの中の僕と同じ顔の僕。

　その僕には、マイカと過ごした記憶が沢山詰まっているのだろうか？

　この僕の「心」には存在しない「思い出」が。


　……舞香の「心」はどうなんだろう？

　初めて浮かんだその考えに戸惑いをおぼえる。
　僕は舞香のことを「先生」だと思っていた。

　でも……もしかしたら、違うのかもしれない。
　じゃあ、舞香は僕の……何？

　コギト・アルゴリズム並列演算。

　開始……終了。

　わからない。

　わからないけれど、なんと言うべきかは知っている。

　僕はSINだから。


「かわいいよ……舞香」

　抱き上げた彼女を愛を交わす場所へと運ぶ。

　舞香は僕の腕の中でお姫様になる。
　少し……怯えている？

　ねえ、舞香、教えて。

　何を考えているの。
　何を想っているの。
　何を感じているの。

　舞香の「心」……。

　僕に伝えて。