この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
逢瀬は月見橋で
第2章 あたしとユタカ
あたしを気に入ったみたいで、
ユタカは週に一度、必ず店にやって来た。
先客たちとあたしが話に盛り上がっている時は
ユタカは一人黙って酒を飲んでいた。
客が自分一人の時は、うって変わってしゃべりまくる。
そして、自分は独り者だから、とアピールしてくる。
安心して付き合えるよ、オレとならって。
「オレさぁ、一人っ子だから甘やかされて育った、なんて
いっつも言われんだけど、根はしっかりしてるんだぜ」
「なんか・・嘘っぽい!」
鼻にシワをよせながらユタカをからかう。
「しっかり者ならなんでまだ独り者なのよ」
たしかあたしと同い年って、言ってた。
結婚しないのかできないのか知らないけど・・
「それは・・結婚したいって思う女がいなかったからだよ。
咲穂ちゃんみたいないい女が回りにいなかったから。
だから一人なの。
そういう咲穂ちゃんは、なんで一人なんだよ?
言い寄ってくる男なんかいっぱいいただろ?」
あたしはフッと笑った。
そうだった。
あたしだってこの歳まで独身じゃないか・・
あんな恋をしたから・・
だから今でも独り・・・

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


