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喪われた記憶
第10章 引っ越しの前に
「あれ…ここって」
外に出た私は目にした光景に思わず立ち止まる。
『……俺達がいた街。覚えてるか?』
首を横に振る。
「…わからないですけど、懐かしい感じはします。」
『…そっか』
二人で車に乗って私の家へと向かう。
『…どうして俺のこと覚えてないんだろうな。』
「………私、転校したんですよね。」
『ん?…あぁ。』
「私には転校した記憶…というか中学生の時の記憶が全くないみたいですね。」
赤信号で止まる。
『……中学の時に何かあったんじゃないか?』
「…………。」
『……あの手紙には、
“嫌いになったわけじゃない”って書いてあったからな。』
「…………そうなんですか……?」
『…帰ったら見せてやるから。』
「すみませんね…色々と。」
『…気にすんなよ』
少しずつ…思い出していけばいいんだ。
中学の時のことも…
彼に対する恋心も……。

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