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好きにさせて
第10章 好きにさせて

「あぁ…気持ちええわ
ありがとうな」

咥えてもろうたことはないけど
手での愛撫は
何度もある

まだ茜の愛撫は
下着越しで物足りひんけど
もうええで
という意味を込めて
俺はそう言って
茜の頰を撫でた


「まだ」

「ん?」

「もっとしたい」

「何言うてるんや。
そんなことせんでええ。
それは…」

「ん?」


「好きな男にやったれ」


自分で言っておきながら
俺は胸がチクリと痛んだ

茜は
俺を

好きやない

せやから


「もうええんや」


すると茜は
何も言わずに
スッと立ちあがり
俺に背を向けた

機嫌…悪うしたんか?

乱れた浴衣に
少し乱れた髪

黙ったまま
俺から離れていく茜は
色っぽくて
つい
見とれてしまった


「茜…怒ったんか?あっ」


気になって声をかけた
その時
茜は部屋の灯りを落とした

ついてるのは
枕元にある和紙で包まれた
スタンドだけ

一瞬で
部屋の雰囲気が変わると
茜が俺の元へと戻ってきて
また
俺の前に膝をついた

「そんな悲しいこと
言わないでよ」

「無理させたないだけや」

「私が無理してると思うの?」

「……まぁ…」

会話は止まらへんけど
茜の手は
止まることがない

「どうして?」

お前が
俺と付き合うてくれへんからや

「茜、ほんまにええから」

それでも
茜は俺の浴衣の紐を解いて
浴衣を広げ
しっかりと形を変えた
俺の下半身に
頰を寄せた

「…茜…」

「ねぇ」

「…ぁぁ…」

「脱いで」


「……」


その言葉に
俺は葛藤した

茜から
オーラルな愛撫を
受けてみたい

一度でもええ

尚が好きよ

…と、言ってくれているような
気分に浸りたい

中学の時から
何度も何度も妄想した
茜からの奉仕を

受けてみたい


けど


「お前が大事なんや…」



「だったら

好きにさせて」
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