この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
rena's world story★a.n.r.r.y
第15章 考えたこともない
「違うよ、瀬名」
飲み終わった缶を捨てて、蓮が小さく首を振った。
「あの令嬢のターゲットは俺じゃない。
最初からお前だ」
「ははっ、まさか。
爽やかなイケメンを差し置いて俺に来るかよ」
「嘘じゃないよ。
彼女が高校生の頃から、紹介してくれって頼まれてたんだから」
「……!」
「感謝してほしいのはむしろこっち。
上司を上手く動かして、ずっと阻止してた」
「………」
「諦めるって言ってたから安心してたのに
結局直接お前に……」
……総会・会合や祝賀会の度に、偉大な父親の陰から
熱く恋焦がれると言うよりは、どこか見定めるように注がれていた静かな視線。
当然隣りにいる蓮に向けられたものだと思っていたけど……
つーか高校生の時からって、アホなんじゃねぇの。
笑わせるな。
どんだけ出逢いねぇんだよ。
「身近な男じゃ満足できねぇってか?
ひと回り歳上をからかいやがって…」
「……瀬名、気を付けろ」
「……あ?」
「彼女は、ただの世間知らずのお嬢さんじゃない」
更に声を低くした蓮が、真っ直ぐ俺を見た。
「若干ハタチの学生だと思って対処すると、痛い目に遭うよ」

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


