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rena's world story★a.n.r.r.y
第10章 愛してる
「何がいい?」
「……えっ!?」
「飲んでないって、今アンナが言っただろ。
作ってやるよ」
脱いだスーツの上着を、ソファの背もたれに掛けるヒメ。
……いつもと同じ口調なのに、なんだかその声も優しく感じられて
シャツの袖を捲るヒメの手を、呆気に取られて見つめてしまう。
「お前、甘いのしか飲めねぇんだよな。
簡単なやつなら俺も出来るから」
「………!」
「ヤスの使ってる道具が、確かあっちに…」
「ヒ、ヒメ……!」
バーカウンターに向かおうとしたヒメを、慌てて呼び止める。
縺れそうになる足をなんとか動かして、ヒメの前に立った。
「……あ、あの……」
……披露宴と二次会で、きっといっぱい飲んできているはずなのに
いつものようにヒメからいい香りがして
それだけじゃなくて、正装のヒメは凄くかっこいいから
……きゅうっと胸が締め付けられてしまう。
「……ご、めんね」
「………!」
「……私も、麗子さんと優香さんがいるって知らなくて
アンナに付いていったら……まさかここだとは思っていなくて」
「………」
「……勝手に来ちゃって、ごめんなさい……」

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